「内海町に初めて来た時、すぐに店舗を構えることを考えました。都会では上っ面しか見えないことがある。４０歳までの間は、こういう環境の中で店をやりたいなって」。そう語るのは、クレセントビーチにある炭火焼きレストラン『ゾノキッチン』のオーナーシェフ・原薗和也。

ドイツやイタリアで和食を普及する仕事に携わった後、東京の人気フレンチ『ル・カフェ・ベルトレ』で働いたり、小林武史氏がコンセプトプロデュースする『クルックグループ』の立ち上げに関わってきた経歴を持つ。

持ち前の明るさと行動力で、次から次へと縁をつなぎ、新しい仕事に挑戦してきた原薗。食材につい

て真剣に考えるようになったきっかけは、東日本大震災の時に炊き出しに参加したことだった。大量生産・大量消費の現代社会の中で、この人が作るものなら大丈夫という食材を見つけたいと思うように。「生産者に会い、食材のストーリーを知ると、その人が作ったおいしさをそのまま伝えたいと思いました。昔は自分の色を出したかったんですけどね（笑）」。

２０１４年に開店した自身の店では、素材の味が最も生かされる炭火焼きで提供することにした。さらに、日本人の中で進む魚離れを何とかしたいとも考える。地元の漁師に店のすぐ横に船をつけてもらい、その場で魚をシメて調理する料理教室を企画したり、漁師と一緒に商品開発を行ったり。魚のおいしさを知ってもらうため、原薗はさまざまなアイデアで勝負する。

オープンキッチンで開放的な『zono kitchen』。店の前には美しい海が広がり、景色も最高！